飛行機の中でWiFiが使える仕組みとは?
飛行機の中でWiFiを使うには、航空機が空中で地上のインターネットと通信する必要があります。現在主流の方式は「衛星通信方式」と「地上基地局(ATG)方式」の2種類で、どちらを採用しているかによって速度や安定性が大きく変わります。日本発着の国際線では衛星通信方式がほぼ標準となっており、理論上は高高度でも接続が維持されます。
衛星通信方式(Satellite-based)
機体の上部に設置されたアンテナが静止衛星または低軌道衛星(LEO)と通信し、インターネットへ接続します。静止衛星は高度約36,000kmに位置するため遅延が大きくなりがちですが、SpaceXのStarlinkのような低軌道衛星コンステレーション(高度550km前後)は遅延が20〜40msと大幅に改善されており、GSMA(国際移動体通信事業者協会)も次世代の航空通信インフラとして注目しています。
地上基地局(ATG)方式
地上に設置された基地局からの電波を機体の腹部アンテナで受信します。陸上飛行中は比較的安定していますが、太平洋や大西洋などの洋上飛行では使えません。日本発の長距離国際線ではほとんど採用されていない方式です。
機内WiFiの使い方:接続手順をステップごとに解説
機内WiFiの使い方は、航空会社によって多少異なりますが、基本的な手順は共通しています。スマートフォンの機内モードをオンにしたうえでWiFiだけをオンにし、機内のSSIDに接続してポータルページから購入・ログインするのが標準的な流れです。
ステップ1:機内モードをオンにする 離陸前または機内アナウンスに従い、スマートフォンの機内モードをオンにします。これで携帯電話の電波(セルラー通信)が遮断されます。
ステップ2:WiFiだけをオンにする 機内モードをオンにした状態でも、WiFiは個別にオンにできます。設定アプリまたはコントロールセンターからWiFiをオンにしてください。
ステップ3:機内SSIDに接続する 「_Gogoinflight」「JAL SKY Wi-Fi」「ANA Wi-Fi Service」など、航空会社固有のSSIDが表示されます。パスワードなしで接続できる場合がほとんどです。
ステップ4:ポータルページで購入・ログイン ブラウザを開くと自動的に機内WiFiポータルへリダイレクトされます。プランを選択してクレジットカードで支払い、接続開始です。
ステップ5:接続確認 SNSや地図アプリなど軽いコンテンツから試すのがおすすめです。動画ストリーミングは帯域を消費するため、他の乗客の迷惑になる場合があります。
機内モードとWiFiは同時に使える?仕組みを正しく理解しよう
「機内モード=すべての通信がオフになる」と思っている方は多いですが、正確には違います。機内モードはセルラー通信(4G/5G)をオフにしますが、WiFiとBluetoothは個別にオン・オフできます。つまり機内モードをオンにしたままWiFiだけをオンにすることが、機内WiFiを使う正しい方法です。
| 設定 | セルラー通信 | WiFi | Bluetooth |
|---|---|---|---|
| 機内モードOFF | ✅ オン | ✅ オン | ✅ オン |
| 機内モードON | ❌ オフ | ❌ オフ(デフォルト) | ❌ オフ(デフォルト) |
| 機内モードON+WiFi手動ON | ❌ オフ | ✅ オン | ❌ オフ |
| 機内モードON+WiFi・BT手動ON | ❌ オフ | ✅ オン | ✅ オン |
iPhoneでもAndroidでも、機内モードをオンにした後にWiFiをタップするだけでWiFiのみ有効化できます。航空会社のルールに従ってセルラー通信をオフにしつつ、機内WiFiを利用するのが正しい使い方です。
機内モードにするとeSIMはどうなる?
eSIMユーザーが気になるのが「機内モードにしたらeSIMの設定は消えてしまわないか」という点です。結論として、機内モードをオンにしてもeSIMのプロファイルは削除されません。eSIMはSIMカードと同様に端末に保存されたデータであり、機内モードはその通信を一時的に停止するだけです。
着陸後に機内モードをオフにすれば、eSIMは自動的に再接続を試みます。事前に目的地のeSIMを設定しておけば、空港に着いた瞬間から現地ネットワークに接続できます。これは海外旅行でスマホ料金を節約する方法として非常に有効な手段です。
eSIMのデュアルSIM運用と機内モード
デュアルSIM対応端末(iPhone XS以降、多くのAndroid端末)では、日本のSIMとeSIMを同時に使えます。機内モード中はどちらのSIMも通信がオフになりますが、機内モードを解除すると設定に応じて自動的に切り替わります。目的地到着後は「モバイルデータ通信」の設定でeSIMを優先SIMに設定しておくと、スムーズに現地ネットワークへ接続できます。
主要航空会社の機内WiFiサービス比較
日本人旅行者がよく利用する航空会社の機内WiFiサービスを比較しました。料金・速度・利用可能路線はいずれも2026年時点の情報です。
| 航空会社 | サービス名 | 料金目安 | 対応路線 | 通信方式 |
|---|---|---|---|---|
| JAL | JAL SKY Wi-Fi | 約1,200〜2,800円(フライト時間により異なる) | 国際線(一部) | 衛星(Ku/Ka帯) |
| ANA | ANA Wi-Fi Service | 約1,100〜3,000円(フライト時間により異なる) | 国際線・一部国内線 | 衛星(Ku/Ka帯) |
| シンガポール航空 | KrisWorld Wi-Fi | 約$8〜28 USD | 国際線 | 衛星(Ka帯) |
| ユナイテッド航空 | United Wi-Fi | 約$8〜49 USD | 国際線・国内線 | Viasat / Starlink |
| デルタ航空 | Delta Wi-Fi | 約$5〜50 USD | 国際線・国内線 | Viasat / Gogo |
| エミレーツ | Emirates Wi-Fi | 約$1〜16 USD | 国際線 | 衛星(ICE) |
| カタール航空 | Qatar Wi-Fi | 約$10〜20 USD | 国際線 | 衛星 |
注意: 料金はプランや路線によって変動します。購入前に各航空会社の公式サイトで最新情報を確認してください。
機内WiFiが繋がらない時の対処法
機内WiFiが繋がらない場合、原因のほとんどはデバイス設定・ポータルページの問題・混雑による帯域不足のいずれかです。以下の手順を順番に試してみてください。
① 機内モードのオン・オフを切り替える
WiFiの接続が不安定な場合、一度機内モードをオフにし、再度オンにしてからWiFiを手動でオンにします。これだけで解決するケースが多いです。
② ブラウザのキャッシュをクリアする
機内WiFiポータルは特定のブラウザとの相性が悪い場合があります。Safariで繋がらない場合はChromeを試す、またはシークレットモードで開いてみてください。
③ 機内WiFiのSSIDに手動で接続する
自動接続されない場合は、WiFi設定から機内のSSIDを手動で選択します。SSIDはシートポケットのカードや機内エンターテインメント画面に表示されていることが多いです。
④ VPNをオフにする
VPNが有効になっているとポータルページへのリダイレクトがブロックされることがあります。接続が完了するまでVPNは無効にしてください。
⑤ IPアドレスを手動設定する
稀にDHCPが正常に機能しない場合があります。WiFi設定でIPアドレスを手動設定(例:192.168.1.100、サブネット:255.255.255.0)してみてください。
⑥ 機内クルーに確認する
上記を試してもつながらない場合は、フライトアテンダントに相談してください。システム再起動や代替手段を案内してもらえることがあります。
海外でデータ通信ができない時の緊急対処法も参考にすると、着陸後のトラブルにも備えられます。
機内WiFiの速度と料金:正直なところどうなの?
機内WiFiの実態について正直にお伝えします。衛星通信の帯域幅は地上のWiFiと比べると限られており、混雑時には著しく速度が低下します。国際電気通信連合(ITU)の調査によれば、従来の静止衛星を使った機内WiFiの実測速度は平均3〜10Mbps程度であり、複数乗客が同時利用する場合はさらに低下します。
一方、Starlinkを採用した航空会社では実測50〜150Mbpsを記録するケースもあり、体験は大きく改善されつつあります。2026年現在、ユナイテッド航空やデルタ航空の一部機材がStarlinkへの移行を進めており、機内WiFiの品質は今後数年で劇的に向上すると見込まれています。
機内WiFiでできること・できないこと(一般的な速度の場合)
| コンテンツ | 可否 | 備考 |
|---|---|---|
| テキストメッセージ(LINE、WhatsApp) | ✅ 可 | 快適に使える |
| メール送受信 | ✅ 可 | 添付ファイルは小さめに |
| SNS閲覧・投稿(テキスト・画像) | ✅ 可 | 画像の読み込みに時間がかかる場合あり |
| ウェブ閲覧 | ✅ 可 | 重いページは遅い |
| ビデオ通話(Zoom、FaceTime) | ⚠️ 条件次第 | 混雑時は難しい |
| YouTube・Netflix(HD) | ❌ 困難 | 帯域不足になりやすい |
| クラウドバックアップ | ❌ 非推奨 | 大量データ転送は避ける |
海外旅行でWiFiを途切れさせない方法:着陸後の接続戦略
機内WiFiが使えても、着陸後に空港や現地でWiFiが途切れることへの不安は別の問題です。空港のフリーWiFiは混雑・セキュリティリスク・接続の不安定さという三重苦があります。着陸後すぐに安定したネットを使うための最善策は、出発前にeSIMを設定しておくことです。
なぜeSIMが着陸後の接続に最適なのか
eSIMは物理SIMと異なり、日本にいる間にスマートフォンにインストールできます。機内モードを解除した瞬間に現地ネットワークへ自動接続するため、SIMを差し替える手間も、空港のSIMショップを探す必要もありません。
たとえばオーストラリア旅行用のeSIMをシドニー到着前に設定しておけば、入国審査を出た瞬間からGoogleマップもLINEも使えます。同様にカナダ旅行用のeSIMも事前設定が可能で、バンクーバーやトロントの空港でSIMを探す時間を節約できます。
eSIMの事前設定手順
- 出発の数日前にeSIMプランを購入・ダウンロード
- QRコードをスキャンしてeSIMをインストール(WiFi環境下で行うこと)
- 機内モードをオンにして搭乗
- 着陸後、機内モードをオフにするだけで自動接続
海外でeSIMとモバイルデータ通信をオフにする設定の違いと使い分けを事前に確認しておくと、設定ミスによる意図しないデータ消費を防げます。
機内WiFiを使う際の注意点とセキュリティ
機内WiFiは便利ですが、セキュリティ面では注意が必要です。機内のWiFiネットワークは暗号化が不十分な場合があり、同じネットワーク上の悪意あるユーザーによる通信傍受のリスクがゼロではありません。
機内WiFi利用時のセキュリティチェックリスト
- オンラインバンキングは避ける: 金融取引は地上の安全なネットワークで行う
- VPNを使う(接続後): ポータルページへの接続が完了した後はVPNをオンにする
- HTTPSサイトのみ使用: アドレスバーに鍵マークがあるサイトのみ利用する
- 自動接続を無効にする: 帰国後に不要な機内SSIDへの自動接続を防ぐため、使用後はネットワークを「削除」する
- ファイル共有をオフにする: iOSの「AirDrop」やAndroidの「ニアバイシェア」は機内では無効にしておく
機内WiFiが使えない路線・状況はある?
機内WiFiが使えない場合もあります。すべての航空会社・すべての機材でWiFiが提供されているわけではなく、路線・機材・運航状況によって利用できないケースがあります。
WiFiが使えない・制限される主なケース
- LCC(格安航空会社)の国内線: ピーチ、ジェットスターなど多くのLCCは機内WiFiを提供していない
- 旧型機材: 古い機材にはWiFi設備が搭載されていない場合がある
- 離着陸時: 高度が低い間は接続が不安定または使用不可
- 特定の空域: 一部の国や地域の上空では規制により使用できない場合がある
- システム障害: 衛星通信機器の故障や整備中は使用不可
旅行前に航空会社の公式サイトで該当便のWiFi対応状況を確認するか、予約確認メールに記載されている機材情報をチェックしておきましょう。
機内WiFiの料金を節約する方法
機内WiFiは便利ですが、フライトごとに支払うと費用がかさみます。頻繁に飛行機を使う方向けの節約術をご紹介します。
節約テクニック
- サブスクプランを活用する: GogoやViasatは月額サブスクリプションを提供しており、同じ航空会社を頻繁に使う場合はお得
- 事前購入割引: 一部の航空会社は地上での事前購入で割引を提供している
- マイレージ・クレジットカード特典: 航空会社系クレジットカードに機内WiFi無料特典が付いている場合がある(アメリカン・エキスプレスのデルタカードなど)
- 必要な時だけ使う: フライト全体ではなく、1時間プランなど短時間プランを選ぶ
- 機内エンターテインメントで代替: 映画・音楽は機内エンターテインメントシステムを活用し、WiFiはメッセージ確認のみに絞る
目的地到着後の接続:eSIM事前設定が最強の理由
機内WiFiの話をしてきましたが、旅行者の接続不安の本質は「着陸後、安全かつ安価にネットを使えるか」という点にあります。機内WiFiはあくまで飛行中の一時的な手段であり、現地での通信手段は別途用意する必要があります。
フリーWiFiに頼る方法はセキュリティリスクがあり、国際ローミングは高額になりがちです(総務省の調査によれば、日本人旅行者の海外ローミング費用は1日あたり平均1,500〜3,000円に上ることがあります)。
Simologyのトラベルe SIMは190カ国以上に対応しており、QRコードをスキャンするだけで設定完了。アジア全域をカバーするeSIMプランやヨーロッパ全域対応のeSIMプランなど、地域まとめてカバーできるプランも用意しています。
海外旅行でeSIMが突然使えなくなる原因と対処法もあわせて読んでおくと、万が一のトラブルにも慌てず対応できます。
FAQ
飛行機の中でWiFiは無料で使えますか?
一部の航空会社(エミレーツのビジネスクラスなど)では無料WiFiを提供していますが、ほとんどの場合は有料です。料金はフライト時間や航空会社によって異なり、1時間プランから全フライトプランまで選べます。事前に航空会社の公式サイトで確認するか、搭乗前にオンラインで購入すると割引になる場合があります。
機内モードをオンにしないとどうなりますか?
機内モードをオンにしないと、スマートフォンは自動的に地上の携帯基地局やローミングネットワークを探し続けます。これにより予期しない高額なローミング料金が発生する可能性があります。また、航空機の計器類への干渉リスクもゼロではないため、航空会社のルールに従い機内モードをオンにすることを強くおすすめします。
機内でLINEやWhatsAppは使えますか?
機内WiFiに接続できれば、LINEやWhatsAppなどのメッセージアプリは基本的に使えます。テキストメッセージや音声メモの送受信は比較的少ない帯域で動作するため、速度が遅い環境でも快適に利用できます。ただし、ビデオ通話は帯域を多く消費するため、混雑時には難しい場合があります。
eSIMは機内モード中に消えてしまいますか?
機内モードをオンにしてもeSIMのプロファイルは削除されません。機内モードはセルラー通信を一時的にオフにするだけで、eSIMのデータ自体は端末に保存されたままです。着陸後に機内モードをオフにすれば、eSIMは自動的に現地ネットワークへの接続を試みます。
着陸後すぐにスマホでネットを使うにはどうすればいいですか?
出発前にトラベルeSIMをインストールしておくのが最も確実な方法です。機内モードを解除した瞬間に現地ネットワークへ自動接続されるため、空港でSIMを探したりフリーWiFiを探したりする必要がありません。eSIMは日本にいる間にQRコードをスキャンするだけで設定でき、WiFi環境があれば5分以内に完了します。
機内WiFiでVPNは使えますか?
VPNは機内WiFiでも使用できますが、ポータルページへの接続が完了してから有効にする必要があります。VPNをオンにしたままだと、機内WiFiのポータルページへのリダイレクトがブロックされて接続できない場合があります。接続完了後にVPNをオンにすることでセキュリティを確保できます。
機内WiFiの速度はどのくらいですか?
従来の静止衛星を使った機内WiFiの実測速度は平均3〜10Mbps程度です。Starlinkなどの低軌道衛星を採用した最新サービスでは50〜150Mbpsを記録するケースもあります。ただし乗客数や使用状況によって大きく変動するため、動画ストリーミングよりもメッセージやメール確認に向いています。
子どもがいる家族旅行で機内WiFiは必要ですか?
子ども向けの動画コンテンツは機内エンターテインメントシステムで十分賄えることが多いため、WiFiは必ずしも必要ではありません。ただし、長距離フライトでお気に入りのアプリやコンテンツを使いたい場合は、事前にオフライン視聴できるようダウンロードしておくのが最も経済的です。機内WiFiはメッセージ確認など大人の用途に絞ると費用対効果が上がります。
まとめ:機内WiFiを賢く使い、着陸後も途切れない接続を
飛行機の中でWiFiは確かに使えます。ただし、速度・料金・安定性には航空会社ごとに大きな差があり、すべての便で快適に使えるわけではありません。
この記事のポイントをまとめます:
- 機内モードON+WiFi手動ONが正しい機内WiFiの使い方
- eSIMのプロファイルは機内モード中も消えないため、事前設定が有効
- 着陸後すぐに接続するにはeSIMの事前インストールが最善策
- 機内WiFiのセキュリティには注意が必要で、VPN活用を推奨
- 繋がらない時は機内モードの切り替え、ブラウザ変更、VPN無効化を順番に試す
海外旅行では「飛行中のWiFi」と「現地での通信手段」を別々に考えることが重要です。機内WiFiはフライト中の一時的な接続手段として活用し、現地での安定した通信はトラベルeSIMで確保する——この二段構えが、ストレスフリーな旅の基本です。
次の旅行先のeSIMプランは、出発の数日前にSimologyで設定しておきましょう。海外旅行でスマホが圏外になった時の対処法も参考にして、万全の準備で旅立ってください。






